新築の防蟻のために、シロアリの生態を知ろう

村上春樹氏の著作『騎士団長殺し』には、みみずくが屋根裏に住み着き、その共生関係に関する描写がありました。あのような関係であれば、家に棲みついてもいいものだと感じた方もいるかもしれません。

しかし、家づくりにおいて、シロアリは共生不可能な生物です。この生物には注意が必要です。

最初は、建物の基礎、柱といった部分から、そして最終的には家全体にダメージを与え、最悪の場合、家が倒壊してしまうまで実害を及ぼしてしまう害虫シロアリ。ただ、シロアリの観点からみると、この害虫もまた床下で雨風を防ぎ、生き延びることで命の灯をともし続けている「生物」の一種なのです。一つの種を絶やすには、薬剤だけではうまくいくはずもありません。新築時のシロアリ対策として、シロアリの生態を学ぶことで、その知識を活かしていきましょう。

 

シロアリの生息地と種類

驚くことに、この世界には2000種類以上のシロアリがいるとと言われています。その中でも日本でしばしば発見され、家の害虫扱いされているのはmヤマトシロアリとイエシロアリの2種類です。
1月平均気温4度等温線がその2種の境界線になっており、北がヤマトシロアリ、南がイエシロアリの生息地です。

シロアリとクロアリの違い

皆さんは「アリ」と聞いた時、よく見るクロアリのことを想起しますよね。ただ、シロアリの祖先はゴキブリで、クロアリの祖先は蜂なので、両者は色が違うだけでなく、派生してきた生物も違うのです。また、シロアリは「羽アリ」と呼ばれることもあります。繁殖時期で羽がついているアリは総じて「羽アリ」と呼ばれるので、クロアリにも羽アリはいるのです。
万が一、家で羽アリを発見した場合、まずはシロアリかクロアリの判別、それからそれがシロアリだった場合、至急何かしらの対策を取ったほうがいいでしょう。

 

シロアリは何を好んで食べる?

一般的に、シロアリは柔らかい木材を食べて生きていると思われがちです。しかし、本当は雑食で何でも食べる生き物なのです。段ボールといった自然物ではないものも食すことができ、シロアリにやられにくいとされているヒノキ等の固い木材でも食べてしまうかのうせいだってあるのです。

新築時のシロアリはどう対策する?

「防蟻」という単語は、薬剤を塗布、もしくは加圧注入することで、土台または構造部(躯体)がシロアリからダメージを受けないようにすることを意味しています。
「防蟻」は、品確法・住宅性能表示基準の劣化対策等級に則って行われ、最高等級である「劣化対策等級3」では、次のような事項が必要となります。

部位劣化対策等級3で求められる対策
土台 土台への防腐・防蟻処理義務(ただし、集成材の場合多くは免除)
外壁 外壁の軸組等への防腐・防蟻処理義務(ただし、集成材の場合多くは免除)
基礎 べた基礎を採用、または土壌に防腐・防蟻処理

薬剤の効果は永久に続くわけではありません。徐々に薄れていくものなので、塗布・加圧注入から5年ほど経過したら、再び対策したほうが良いです。また、一通り、対策をしたからといって安心できるとは限りません。施工者と協力して、シロアリ対策が成功することを祈っております。