【 後悔しないための家づくり知識 】

~ 断熱性能についてと、その見方編 その② ~

『根拠編』

 

 

前回に引き続き断熱性能についてのお話です。

まだ読まれていない方は下記リンク先よりまずバックナンバーから読まれることをお勧めいたします。

↓↓↓

~ 断熱性能についてと、その見方編 その① ~『基本編』

 

 

 

<<<前回のおさらい>>>

前回一番重要で覚えてくださいと言っていた

    【熱抵抗値()】の数字が大きければ大きいほど断熱性能が優れている

【入れる断熱材の厚み()÷【熱伝導率(λ)】=【熱抵抗値()

この単純な割り算式を踏まえて、各ビルダー、ハウスメーカーさんに

「使っている断熱材の厚みは何mmですか?」

「その断熱材の熱伝導率(λ値)はいくらですか?」

とだけ聞いて上式に入れれば、熱抵抗値(R)を算出でき、大きな数字ほど熱の出入りを遮れるので、どのメーカーの断熱性能が良いかの目安となり比較することが簡単に出来ます。

ただ、前回も話したように使っている断熱材が分厚く、熱抵抗値が大きいだけでは必ずしも良い断熱性を持った家になるとは限りません。

四季における東西南北の太陽の光(熱)をどうコントロールするかの設計・計画が出来ていないと、同じ断熱性能でも全く違った室内環境となり、光熱費の使用量も大幅に変わってくる羽目になります。

 

本当に高い断熱性能(HEAT20G2~それより高い性能)を求めるのであれば、R値は3.5以上、出来れば4.0以上を目指す方が良いです。

 

 

また、断熱材の熱抵抗値(R)の数字が良くても窓の性能が悪ければ最悪です。

窓の性能の比較には前回もう一つお伝えしていた

【熱貫流率(U)】の数字が小さければ小さいほど断熱性能が優れている

÷【熱抵抗値()】=【熱貫流率()

を見ていく必要があります。

この熱貫流率(U)については、使用する玄関ドアや窓のカタログを見せてもらうと載っているので簡単に確認できます。

気を付けないといけないのはこのU値は小さな数字の方が良い性能という事です。

 

 

また、室内の温度湿度や状況によっても変わってきますが、カタログ値は最低でも1.5程度以下を目指さないと断熱性能に大きく影響したり、冬場に結露しやすい状況を生み出してしまいます。

さらに、カタログ値で “ガラス” のU値だけを見て安心してしまうお施主様や “ガラス”のU値が良いから安心してくださいという営業マンもいるようですが、ガラスよりも“枠”部分の方が熱の出入りの原因(熱橋部)になりますので、使う素材・メーカー・グレードによってまちまちです。

 

 

同じ樹脂サッシや複合サッシでも性能がまったく違ってくるので、必ず窓全体での平均熱貫流率の数字を確認して、本当に高い断熱性能(HEAT20G2~それより高い性能)を求めるのであれば、玄関ドアの性能も含めて、最低でも1.5程度以下、出来れば1.0以下を目指すようにしましょう。

あと、複層ガラスとトリプルガラスでもU値が全然変わってくるので、どちらを使うのかしっかり確認する事も大切です。

 

 

 

 

ちょっと前置きが長くなってしまいましたが、なぜここまでの推奨値を打ち出しているか、健康面からの根拠をいくつかお話していきたいと思います。

 

前回も出てきた一般社団法人HEAT20とは、著名な先生方により、低環境負荷、安心安全健康面、住宅の耐久性を向上させるための目的で設立された機関です。

↓↓↓

http://www.heat20.jp/index.html

 

このHEAT20のウェブサイトの他、経済産業省資源エネルギー庁ウェブサイトからのリンク先である一般社団法人健康・省エネ住宅を推進する国民会議のウェブサイト、

↓↓↓

http://www.kokumin-kaigi.jp/0005.html

 

環境省関連からのウェブサイト、

↓↓↓

https://www.cger.nies.go.jp/ja/library/qa/9/9-1/qa_9-1-j.html

 

国交省関連からのウェブサイト

↓↓↓

chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001323205.pdf

 

その他医学論文や建築関連論文記事など、深く調べずともちょっとしたキーワード検索でも多くの確かな情報筋からの情報提供が実は成されています。

↓↓↓

chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.ibec.or.jp/topic/COVID-19/download/column04.pdf

https://www.renovation-labo.net/12-%E3%80%8C%E5%AE%A4%E6%B8%A9%E8%A6%8F%E5%88%B6%E3%80%8D%E3%81%8C%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%AE%E3%81%AF%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%A0%E3%81%91%EF%BC%81%EF%BC%9F/

 

 

 

これらから読み解ける結果として、健康被害に遭わないためにも、最低室温を16℃程度を下回らない家づくりが必須であり、極力最低室温18℃を下回らない家づくりを担保することが重要です。

また、夏場の熱中症死亡率も実はかなりの被害が年々増えてきており侮れません。(上記リンク先参照)

 

 

さらに、このまま温暖化が進んだ時に2100年に日本がどうなっているか予測した天気予報が下記環境省ウェブサイトで動画をアップしてくれています。

↓↓↓

https://www.env.go.jp/press/107008.html


2100年は自分たちはもういないから関係ないやでは済まされません。

その時もまだ生きているであろう子供たちは高齢となり、熱中症にかかるリスクは高い年齢であり、また孫やその先の未来を生きていく人々はたまったもんじゃありません。

生き死にをかけた環境に晒される可能性が高まっています。

 

ここまでを踏まえ、再度分かりやすく、それぞれの外皮性能(断熱性能)で、冬場におおむねどの程度の最低室温を迎えることになるかまとめると、

となります。

高気密高断熱の理解が進んでいる方はすでにご存じと思いますが、家を魔法瓶化する事を目的としているので、夏場の猛暑日でも熱中症に悩まされないで快適な室内環境を確保しようと思えば、やはり高気密高断熱化が重要となります。

 

予算や間取り計画によっても変わってくる事ではありますが、健康で、快適で、省エネで、低環境負荷な家づくりを目指すのであれば、少しでも高い断熱性能を目指す必要があります。

 

パッシブハウス基準についてはリンク先にはありませんが、無暖房レベル以上の断熱性能となり、家電や人体から発せられる熱のみで冬場の健康快適室温を維持できます。

 

もちろん、光熱費を気にせずガンガンと冷暖房を付けても良い場合は断熱性能は低くても問題ないですが、窓の結露や壁内結露が起こりやすくなり、カビや腐朽菌を室内壁内に繁殖する事態をまねく事にも繋がりかねないといったように、家の構造躯体を傷めることになり、耐久性や耐震性へと影響が出てくる事になります。

 

 

 

 

今日のこの話から、どの程度の断熱性能を持たせるとどういった室内環境が生まれ、どういった状況を想定する必要があるかの目安となってもらえたのではと思います。

『けど、良い性能になればなるほど結局コストがかかってくるから高いんでしょ?』

とよく聞かれますが、高いと思うのか安いと思うのかも伝え方次第、内容をきちんと理解した上でも人それぞれと思いますので、次回、どれくらい省エネでコストにどう関わってくるのかを実例の光熱費を見ながらお話していこうと思いますのでお楽しみに!!!

 

 

 

<<<余談>>>

 

一昨日弊社がお引渡ししたオーナー様から、お引渡しした日の夜に電話がかかってきました。

何かあったのかとドキドキしていたら

 

「すみません、夏場は冷房じゃなく除湿弱運転で十分と言っていたと思うのですが、除湿弱でも寒すぎてどうしたらいいですか?」

とのことでした。

「○○さんのお家の性能はUa0.32C0.11となりますので、個人差にもよりますが聞いた感じではもうエアコン機器は切ってもらっても明日の午前中くらいは快適な室温が保てると思います。 性能がある程度以上確保出来たお家は連続運転の方が冷暖房費が安くなりますが、○○さんのお家は更に性能が良いのでちょっとした冷却時間があればかなり長く保てるので、切ってから6~8時間以上空けてちょっと運転してまた切っての方が更に冷暖房費を安くできます。 使い方に慣れていく必要がありますね!」

と、お伝えすると

「いやぁ、慣れていくまで難しいですけど嬉しいですね~!」

と、言ってもらえました。

 

猛暑日・熱帯夜が始まったにも関わらず、極力機械に頼らず光熱費を抑えて環境負荷の低減を目指すためには、やはりある程度以上の住宅性能は必要だなと改めて感じた瞬間でした。

 

 

 

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