なぜ住宅性能は極力高くするべきか(その4)

 

 

『なぜ住宅性能は極力高くするべきか』について

前回までは断熱性能について、なぜ、予算が許す限り極力多く断熱するべきかの理由を話してきました。

 

今回は、気密性能について、同じくなぜ極力気密性を上げていくべきなのかを話していきたいと思います。

前回、前々回、前前々回をまだ読まれていない方は是非、下記バックナンバーから順番に読んでみてください。

↓↓↓

 

なぜ住宅性能は極力高くするべきか(その1)

 

なぜ住宅性能は極力高くするべきか(その2)

 

なぜ住宅性能は極力高くするべきか(その3)

 

 

 

Airtightness 気密性 】

 

Airtightness 気密性とは、もうすでにご存じの方も多くいると思いますが、家の外皮面(屋外と接する面。屋根や小屋裏、基礎や床、外壁や窓の面)全体に対して、目に見えるか見えないかくらい小さな隙間が全部かき集めて合わせた時にどれくらいの大きさになるかを表したものになり、日本ではC値(相当隙間面積)という数値で示します。

   C値は断熱性能と同様に小さな値になればなるほど良い値です。

 

この小さな隙間は、柱と梁の継ぎ目、柱と土台の継ぎ目、土台と基礎の継ぎ目、屋根・壁・床合板同士の継ぎ目、窓枠と窓枠を囲む木枠(下地、窓台、まぐさ、方立)の継ぎ目、玄関ドア枠と木枠の継ぎ目、屋外に抜ける配管や配線の貫通孔、断熱材同士の継ぎ目 etc...

多くの目に見えない隙間があります。

 

そんな小さな穴がたくさんあいていると、知らず知らずの内に、空気や湿度の出入りが目に見えないだけでいたるところでたくさん起こっています。

 

船を想像してみてください。

簡単に言えば鉄板等で継ぎ合わせて出来た乗り物ですが、溶接等の技術により、船底でも一滴も水の入る隙間が無いほど密閉されているのが普通です。

でも、目に見えない小さな隙間があいていたらどうなるかと言えば、水圧がかかってじわじわと船内に水が入ってきてしまいますよね?

それと同じように、空気も水と同じく流体なので、家に隙間があれば外気がじわじわと入ってきてしまいます。

(家の中は基本負圧気味なので圧力がかかって中に入ってきます。)

 

また、圧力による空気の移動の他に、物理的には熱の移動もあります。

温度が高い方から低い方へと移動する原理です。

さらに、湿気(水蒸気)も密度の高い方から低い方へと移動する水蒸気拡散という原理があります。

 

 

【 Energy loss 損失 】

 

ここまでを踏まえて気密性の悪い家の夏場を考えた時、

   外の温度の高い熱が、冷房で冷やされた室内へと移動する

   外の湿度の高い空気が、冷房除湿で湿度を抑えた室内へと移動する

   せっかく冷やした室内は次々と入ってくる熱や湿気の影響で、冷房除湿負荷は高くなるので電気代はかさんでいく

 

同じように冬場を考えた時、

   暖房で暖められた室内の高い熱が、気温の低い屋外へと移動する

   室内の加湿された空気(湿気)が、湿度の低い屋外へと移動する

   せっかく暖め適湿の室内空気は、次々と外へと逃げていくため、暖房加湿負荷は高くなるので電気代はかさんでいく

 

もちろんこれらは断熱材が入っている部分の熱の移動は遅らせることはできるのですが、穴が開いているのであればそこから次々と移動していく事になるのです。

 

極端に言えば、極端に気密性の悪い築年数の古いお家は、ざるに水をためようとする行為と似ています。

ちょっと気密性が良くなった近年の家づくりでも、何か所も穴を空けた水槽に水をためているのと同じでいつまでたっても満杯にはなりません。

また、よく言われる高気密住宅(C1.0以下)も、結局のところどれだけ穴を小さくできるかによっては漏れやすく、冷暖房負荷が高い、エネルギーロスの多い建物となってしまいます。

 

さらに、気密性は35年かけて0.10.3ほど落ちていくとされています。

なぜかと言うと、木造住宅であれば構造のほとんどを木に頼って造るので、その木は必ず細ったり変形していきます。

ですので、細りにくい、変形しにくい含水率の低い変形の少ない等級の高い木材を使用しなければいけません。

含水率高めのグリーン材やAD材では、例え気密処理を施したとしても細りや変形に追従できず、数年で気密性能は0.10.3どころではなくかなり悪くなってしまいます。

また、コーキング等だけに頼りすぎる気密処理も、10年以上先には劣化によって気密性を大きく損なう可能性が高いです。

どうしてもコーキングは必要ですが、+αの対策を講じる、もしくはコーキング以外の気密処理方法を施す必要があるのです。

 

 

【 damp 湿気 】

 

気密性を高めないといけないもう一つの理由としては、湿気の壁内流入の防止です。

もちろん、夏場の屋外からの湿気流入の為には屋外側の気密処理で対応し、冬場の室内側からの湿気流入は室内側の気密処理にて対応しなければいけません。

 

この湿気流入防止を怠ってしまうと、木部に関しては内部結露リスクが高まり、最悪の場合カビや腐朽菌による躯体の浸食が起こってしまいます。

そうなると耐震性にも影響してくる最悪な事態となります。

 

また、断熱材が入っている部分に関しては、透湿抵抗が高い断熱材であれば良いのですが、そうでない断熱材の場合、水分を含んでしまい最悪の場合同様にカビの発生、腐らせる事態を起こしてしまいます。

そして、それ以前に、断熱材は水分や湿気を含んでしまうと極端に断熱性能を落としてしまうという事にも注目する必要があります。

断熱性を落とすという事は、結局前述のエネルギーロスにも繋がってしまうという事なのです。

 

 

【 ventilation 換気 】

 

最後にもう一つだけ、

気密性が悪くなればなるほど、換気が正しく機能しなくなります。

 

ストローは入り口と出口しか穴が無く吸い込むため、しっかり飲み物を吸えます。

ですが、嚙んだりして余分な穴が出来てしまうとジュルジュルと気泡交じりで吸い込みが悪くなり、もっと大きな穴になると全く吸い上げる事すらできなくなります。

 

私たちの家の換気も同様に余分な隙間がある事により、想定外、計算外の換気の流れが生じてしまいます。

家や建築物を建てる時に提出する確認申請では換気量計算というものを算出して規定値を満たす換気量を確保しなければいけません。

そうしないとアスベストや人体に有害な空気を新鮮な状態に出来ないからです。

自然素材売りの家づくりでも必ず接着系や多くの素材には科学物質が含まれており、また、屋外から入ってくるPM2.5や花粉、カビの胞子など、悪影響を及ぼす物質はドアや衣服への付着により必ず屋内へと入ってきます。

それらを屋内に滞らせないためには必要量の換気が必須となるのです。

 

しかし、確認申請で提出する換気量計算の理論式は、『C値が0(気密性が完ぺきにとれている状態)』での計算式であり、どれだけ頑張ったとしても、建築物でC値0は一般的に不可能なのです。

ということは、計算上ではOKでも正しく適量な換気がなされていないというのが現実です。

 

建設地の標高や周辺状況、屋外の風速にもよるのですが、ざっと、

C値が1.0の家では換気が50%程度機能する

C値が0.5の家では換気が70%程度機能する

C値が0.1の家では換気が90%程度機能する

といった感じです。

 

最初70%機能しても、経年劣化や木の細りで半分程度しか換気が機能してなかったりすることも注意が必要です。

 

 

 

 

換気の大切さは次回より細かくお話しますが、

気密性を高いレベルで確保できないと、

いくら断熱性が良くても意味が無く、目に見えない壁内結露リスクを高め、

目に見えない換気性能を損ない、

結果として、健康にも悪い環境を生み出し、

家の寿命を縮める行為となり、

光熱費は高まり、

環境負荷を高める家となり、

資産価値の低い高い買い物となってしまうのです。

 

また、確かな気密性を確保できていない家は屋外からの音にも悩まされたり、害虫の侵入や匂いにも悩まされたりします。(音は断熱材の薄さや窓ガラスの構成にも起因します)

 

他の住宅性能や耐久性にも大きな影響を及ぼす気密性能は、確実に、極力高めていく必要があるのです。

 

劣化や換気性を考え、推奨値は、0.1前後がベストでしょう。

また、先に述べたように、気密は屋内側も屋外側も2重でとらないと結露、耐久性、断熱性(熱橋)に大きく影響してしまうので、確実におさえるべきです。

 

 

 

 

次回はVentilation(換気)について、より深く話していきます。

お楽しみに。

 

早くにより詳しく知りたいという方は是非一度ご予約の上、私の話を聞いてみてください。

 

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