『なぜ住宅性能は極力高くするべきか』について

 

前回は今ある常識に囚われずに、ロジカルに、合理的に損得を考えていくマインドセットし直すことで、選択肢を広げ、現在思考のバイアス(目先の利益)に囚われないこと、そして、合理的な先にある美観や究極の永続性が見出せることをお伝えしました。

 

今回はそれらを踏まえた上で、私たちが実際に向き合う住宅性能の断熱について迫っていきたいと思います。

 

 

 

thermal insulation (断熱)

 

住宅性能と言えばまず最初に出てくるのが、昨今では耐震性を越えるほど注目されている断熱性ではないでしょうか?

 

〇断熱をどれくらいすれば良いか

〇どれくらいが一番費用対効果が良いか

〇何の断熱材が良いか

 

などなど、どれだけ調べても、多くの会社を回って話を聞いてみても、知人に話を聞いてみても、結局最後まで確かな正解が分からず、自分で誰もが納得する説明を出来る人はいないのではないでしょうか。

 

正解は無いとは思いますが、私がアドバイス出来ることとしては、予算が許す限り、出来るだけ断熱に費用をかけることをお勧めいたします。

 

 

【 1つ目の理由LCC

 

実は決して冷暖房の消費だけではないのですが、それでも年間消費割合を考えた時に外せないのが、冷暖房に使うエネルギー(光熱費)やLCC(トータルコスト)を考えた時、『全ての冷暖房機器と比べても断熱するという事が一番費用対効果が良い』 からです。

 

このことはバックナンバーの熱の収支を見ても明らかな違いが見て分かると思います。

↓↓↓

 断熱性能別の熱の収支について

 

例えば、6畳用エアコン1台に対して、年間平均消費1600kw使用するとします。

電気代単価を平均19/kwとすると、年間\30,40050年住むとすると\1,520,000、初期導入費(10万)合わせて買い替え4回なら\500,000、トータルで\2,000,000程度は最低でもかかります。

それが家に2台あれば50年で\4,000,0003台あれば\6,000,0004台で\8,000,000です。

12畳用であれば役その倍、20畳用であれば3倍の費用がかかってきます。

 

また、「全館空調であれば6畳用1台で良いから安いのでは?」と時々聞かれますが、意外とそうではありません。

同じように計算していくと、家全体に行き渡らせるための負荷もかかるようなので、その分の費用や効率に関わってきます。(ダクトや送風機なども考える必要がある)

 

某全館空調メーカーさんのインターネットで公開している電気代を参考にすると、

\4,721/月、\56,652/年、\2,832,600/50年で、

メンテフィルター交換で\11,50025,000/年、\575,0001,250,000/50年、

初期導入合わせて機器本体導入交換が5回あると、\300,000×5回=\1,500,000

トータルで\4,907,6005,582,600程度必要になるようです。

 

他にも多くのパターンがありますが、大前提として、これら全て

『電気代が変わらなかった時』の話です。

そして、すでにご存じの方もいるかもしれませんが、あるレベルの断熱をすれば冬場は無暖房で、夏は最低限の除湿運転(約36千円/年程度)のみで過ごせます。

 

断熱等級4レベルから無暖房レベルまでにするのには単純に断熱材の費用だけで言えば300万程度、窓や気密のレベルも上げる事を加味すると、400万程度となります。

 

そして何より伝えたいのが、断熱材は家を建てる時に施工したら、一生交換する必要のない物なので、物価高騰や電気代高騰の影響は受けないのです。

(気密性があまり良くなかったり、内部結露するような断面構成や、厚みが足りずに冷暖房に頼りすぎるほどしか断熱していない場合はそうはなりません。)

 

また、断熱性とエネルギー効率を高めるために欠かせないのが、断熱性・日射取得の高い窓選定です。

窓については下記バックナンバーを是非ご覧ください。

↓↓↓

smartwin『佐藤の窓』

 

 

さらに、日射取得レベルを上げるために南面の開口部(窓範囲)を大きくとるということは、年間通しての日中の明るさも確保できるため、朝から夕方まで在宅の際には家の中が信じられないほど明るく保てるため、照明機器にほとんど頼ることなく過ごせるので、その点でもかなりの量の消費エネルギー削減に貢献します。

 

 

『これほど費用対効果が良い暖房器具は無いのです。』

(パッシブハウスジャパン森みわ代表の言葉)

 

 

 

2つ目の理由 HHSRS

 

HHSRSHousing Health And Safety Rating System)というものをご存じでしょうか?

これは、2006年施行のイギリス住宅法の一部で、建物の基準ではなく、健康被害の危険度を示したものです。

 

この中にはアスベストなどの汚染物質の項目以外にも、寒さや暑さなどの室内の温度による身体への影響、湿気やカビ等の繁殖など、その他にもかなり多くの住宅における身体的影響を評価した指標が記されています。

 

一部抜粋すると、WHOでも提唱されていますが、室温を18度以上に保てないと人体に大きな影響を及ぼすこと、16℃以下では呼吸器疾患や心血管疾患など、さらに大きな健康リスクをもたらすと書かれています。

 

こういった住宅と人体への影響をもっと深く日本の家づくりでも目を向けていかないと、「寒いのが当たり前」、「暑いのが当たり前」、「昔からそんな中で過ごしてきた文化だから身体が鍛えられる」、といった考えから真に脱却することは出来ません。

 

乾布摩擦という文化が無くなったのはなぜでしょう?

ヒートショックが注目されるようになったのはなぜでしょう?

高気密高断熱への注目が年々増していくのはなぜでしょう?

 

他の理由もありますが、建築界や医学界や国のあらゆる研究機関の中で、経済分野の観点からも、高齢化定年延長の観点からも、医療費保険などの負担を減らす観点からも、人体への影響に目を向けないわけにはいかなくなりつつあるからです。

 

そのためには今あるあたり前と思っている多くの情報を再度、もう一度正しく知り直す必要があります。

正しく知識やメカニズムを知ることで、本当に最優先に考えるべき、やるべき事が見えてくるのです。

 

例えば一つ例を挙げると、

「暖房すると乾燥する」ということや、「高気密高断熱の家は乾燥する」という根幹には、実は、「水蒸気圧」や「状態変化」の関係、「湿り線図」の関係があります。

暖房機器全般に 『 乾いた空気 』 をもたらしたり送風するために、人体に影響を及ぼすほどの過乾燥状態にしてしまい、それを補うために加湿器を駆使してさらに電気を使ってしまうなど、健康にも光熱費にも負担がかかる悪循環となっています。

 

湿り線図からも分かるように、人工的に強制的に作りあげた温かい空間は(乾いた空気によって)乾燥してしまいますが、本来の太陽の熱や人体や照明、料理や入浴、木や自然素材のからの吸放出による内部発熱があれば、温湿度は適度に保たれるのです。

 

そして、その状態は言わば、免疫力を下げない、病気になりにくい、カビやハウスダストに悩まされにくい、適温適湿を保った最良の空間をもたらしてくれるのです。

 

ただ、そのためには『高いレベルの断熱』

(暖房機器に極力頼らなくて済むレベルの)がまず必要になるのです。

 

 

 

 

2回に分けてと思いましたが、ついつい長くなってしまい、第3回、第4回、第5回まで続きそうです...(-_-;)

 

次回、出来る限り断熱した方が良い理由その3と、気密性能について話していきたいと思います。

お楽しみに。

 

早くにより詳しく知りたいという方は是非一度ご予約の上、私の話を聞いてみてください。

 

 

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真に快適で経済性の良い家づくりを実現するためには、高い水準の住宅性能と耐久性を確保するための確かな知識が必要となります。

そんな情報収集の手助けに少しでもなればと思いますので、今後発信する弊社の性能住宅に関するブログを是非見てみてください。

 

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