【 後悔しないための家づくり知識 】

~ 断熱性能についてと、その見方編 その⑥ ~

『まとめ』

 

 

 

前回までに断熱性能の基本的な比較検証の仕方や、今後の電気

代上昇についてと、各断熱レベルでの電気代の実績についての

公表、冷暖房機器のランニングコスト、正しいエアコンの選定

方法、コスパの良い冷暖房機器選定思考、冷暖房機器に頼らない

光熱費削減方法、パッシブデザインの基本、季節ごとの太陽の

位置関係と家への影響その見方、などなどお話してきました。

 

そんな中で何名様かにこれまでの事をまとめた話しをして欲しい

とのお問合せいただきまして、今回はここまでの総括をして

整理していきたいと思います。

 

 

このブログはシリーズ化していこうと思いますので、前のブログをまだ

読まれていない方は下記リンク先よりまずバックナンバーから読むことを

お勧めいたします。

↓↓↓

~ 断熱性能について  その① ~『基本編』

 

~ 断熱性能について  その② ~『根拠編』

 

~ 断熱性能について その③ ~『みんなが知りたいコスパ編(実例・電気代について)』

 

~ 断熱性能について その④ ~『最初に考えるべき究極の電気代削減思考(1)』

 

~ 断熱性能について その⑤ ~『最初に考えるべき究極の電気代削減思考(2)』

 

 

 

 

【断熱性能の良し悪しは簡単な計算式で見極める】

 

多種多様な断熱材が出てきている世の中で、各社の断熱仕様を

比較するためには、次式で判断する。

《断熱材の厚み()》÷《熱伝導率(λ)》=《熱抵抗値()

《熱抵抗値()》の数字が大きいほど断熱性能が優れている

(厚みの単位はmに直す)

 

1÷《熱抵抗値()》=《熱貫流率()

《熱貫流率(U)》の数字が小さいほど断熱性能が優れている

 

《熱抵抗値()》は最低でも4.0以上を目指したいところです。

《熱貫流率(U)》は最低でも0.25以下を目指したいところです。

 

 

 

【窓の断熱性能もU値を確認して判断する】

 

家の中でも熱の出入りが一番大きくなるのは窓・玄関ドアになります。

夏も冬も5070%程度の熱の出入りは窓・玄関ドアからです。

だから、断熱で一番最初に考えなければいけないのは窓・玄関ドア

なのです。

 

窓・玄関ドアの性能も前述通りU値を確認する必要があります。

目安としては、窓・玄関ドアのU値が1.0以下を目指すことです。

樹脂窓だから、アルミ樹脂複合サッシだからで判断してはいけません。

カタログを見ると 「平均熱貫流率U値が〇〇」 と書いている

ので、その数値を確認することです。

 

樹脂製品という名前でも、使っている窓の性能が悪いと断熱が悪く

結露に悩まされることになってしまいます。

 

 

 

【住宅性能指標と家の能力の関係について知っておくこと】

 

最近一般的にもよく聞くようになった断熱性能《Ua値》と、その

断熱レベルの呼び名、冬場の非暖房室の最低室温、暖房負荷削減率

の関係を知っておくことが必要です。

 

日本全国で寒暖差は地域によって違いますので、福岡県の《6地域》

を基にしてまとめた図が下になります。

時々CMや紙面などで見た時に、良い数値だなと思ってよく見たら

下の方に小さく(※あくまで北海道の仕様です)等書かれている

こともあるので注意しましょう。

 

 

 

 

 

 

【電気代の仕組みとこれからの動向について知ること】

 

電気代の基本構成は

電気代 = (1) 基本料金 

+ ⑵ 使用電力量×電力単価

+ ⑶ 使用電力量×再エネ賦課金単価

+ ⑷ 使用電力量×燃料費調整額単価

となります。

 

そして、再エネ賦課金単価は年々上昇していくもので、

ピークは20302035年頃となり、このままいくと最大時は

今の倍程度の単価となります。

 

また、燃料費調整額単価は昨年末まではマイナス単価で逆に

安く済ませられていた部分(値引き部分のような扱いだった)

が、プラスへと転じたために劇的に電気代が上がる要因となり

ました。

この燃料費調整額単価は2016年以降に契約した(新築した)

人達には上限設定が無く、2016年以前に契約した人たちには

上限設定があるというものでしたが、近年(近日?)上限撤廃

の改案が出されるようです。

 

また、この燃料費調整額単価は世界情勢や物価変動等が要因

となるものですので、経済の成長を目指すためには物価の上昇

を止める訳にもいかず、さらに円安問題、ウクライナ情勢等の

輸入単価上昇が一層強まることを考えれば、やはり単価上昇は

免れられないことが予想されます。

 

また、使用電力量の単価も地味に上がってきていることにも

要注意です。

 

これらの事が要因で、新電力として電力業界に進出してきた

企業がすごい勢いで倒産していることも知っておく必要があり

ます。

 

これらを踏まえ、今後電気代を抑えていくためにも、そもそもの

《使用電力量》を極力抑えることが光熱費貧乏にならない効率的

な手段となることを理解してください。

 

 

 

【家電の選定方法を知ること、ランニングコストで考えること】

 

家庭での消費電力の割合を見ていくと、やはり冷暖房負荷が割合と

して大きくなります。

オール電化でなくとも、薪ストーブやその他ガス機器燃料費もこの

割合に換算して含んで考える必要があります。

 

その他家電や照明機器の選定でも、消費電力や取替時の費用

(ランニングコスト)をよ~く検討して選定しないと、新築時から

一生の間に信じられないくらいの費用が加算されていきます。

 

その中でもすごくもったいないと思うものの一つにエアコンの選定

があります。

カタログに書かれている何畳用という記載だけを頼りに選んでしま

うとすごくもったいないことになります。

この何畳用という記載は数十年も前(1964年)に決めた目安であり、

断熱性や気密性をほぼ考えていない判断基準となります。

 

正しい選定方法としては以下計算式により必要暖房能力を求める

ことができ、ここから得られるW数(kW数)を目安にカタログ

を見ながら選定することで無駄に高い畳数のエアコンを買うこと

は無くなります。

 

Q値 + C/10)×(床面積㎡)×(目標室内温度と屋外温度の差)

を計算して出た数字が必要暖房能力(単位:W)となります。

    Q値:断熱性能 C値:気密性能 

    (天井が高い・吹抜けがある・ロフトがある等の条件では

   もう少し考えておかなければいけない項目もあります。)

 

 

また、エアコンは機械物なので故障するとやはり10年に一度程度

の買い替えが必要となり、選定を間違えない事で長期にわたる

ランニングコストを劇的に抑えていけます。

 

これらの考え方はエアコンでも、全館空調でも、換気機器でも、床暖房

でも、その他ストーブ等暖房機器でも、あらゆる家電について言える

ことになります。

選定の際には “必ず“ 導入コストとランニングコスト(消費電力と

交換メンテナンスコスト等)を、メーカーが言っているからではなくて

実地データや計算根拠をもって確認、検討する事が重要です。

 

 

 

【パッシブデザインの基本項目】

 

正しい機器の選定をしても、やはり省エネや電気代削減に効果的

になるのは住宅性能のレベルを上げることです。

ただ、併せて必ず押さえておきたいのが、高いレベルのパッシブ

デザインを取り入れる事です。

 

1.6m幅程度のよくある掃出し窓1つの大きさで、太陽から入って

くる日射熱は約600W程度で、これは最大出力にしたコタツ1

分の熱と同程度の量となります。

冬に入ってくれると絶大な暖房効果となり、エアコン等の暖房機器を

使わなくてもかなりの熱源を取得することが出来ますが、逆に夏に

入ってくると窓にコタツがくっついているのと同じこととなり、

暑い季節に必要な冷房効果と逆行してしまいます。

 

また、日の出や日の入り、つまりは東側や西側に来るときの太陽の

位置を考えると、ほぼ真横から日が差してくることとなりますので、

冬はありがたいですが、夏は避けたいものとなります。

 

これを踏まえて考えた時、機械や設備に頼らず家に入ってくる日射

をコントロールしようと思えば、東と西への窓配置は非常に対策を

入念に練ったものでなくてはなりません。

また、冬場の一番太陽の日射が欲しい時期は南面の日照時間が一

番長いので南に極力窓を大きく配置します。

しかし、夏場は南の日射は欲しくないので、冬や夏の南中高度を

考え、庇や軒深にして自然と日射の入り具合が調整されるように

することが重要です。

 

家や屋根の形で対応できない日射遮蔽には、アウターシェードや

外付けブラインドを付けることをお勧めします。

(雨漏りリスクの観点から軒ゼロ・キューブ型はお勧めしませんが)

どれだけ良い断熱気密性能を持っていたとしても、東や西面の窓に

対策が練られていない家は快適性を損ねていく事に繋がります。

 

また、日射遮蔽の視点ばかりで考えるのではなく、筑豊地区では

それなりに開けた土地が多いとは言えど、隣地に家が迫っている

場合や大木、ビルや山など、冬に欲しい日射まで遮ってしまう事が

あるので、土地の選定も非常に重要です。

 

これ以外にも以下パッシブデザインの基本項目を高いレベルで

取り入れることにより、最大限効率の良い家づくりを目指す

ことが可能となります。

 

    高いレベルで断熱する

    空気の漏れをなくす(高いレベルで気密性能を上げる)

    外気の影響を受けにくくする(熱橋部をなくす)

    断熱性能・保温性能が高いレベルの窓を設置する

    季節ごとによって違う日射角度に配慮した窓の配置

    熱交換換気の導入

 

上記項目がパッシブデザインの主要項目で、まず、高い断熱性能と

気密性能がまず、必要不可欠です。

次に(3)についてはヒートブリッジ(熱橋)と言われる、屋外から

屋内へ貫通してしまっている熱の伝わりやすい部分を工夫により

極力抑えていくということです。

(高いレベルで。基礎も窓も木部も全て。)

そして(4)についても(3)と同様に窓とは熱橋部にあたる物なので、

高いレベルの樹脂サッシや木製サッシを採用することが重要です。

 (5)は先に述べた通り日射のコントロールで、出来ているようで

出来ていないお家がほとんどという、かなり重要な項目です。

(6)については通風と同じく、3種換気だと屋外の空気をそのまま

入れてしまうので、夏は高温多湿の空気が、冬は極寒冷気が入って

しまうので、屋内の温熱環境を考えた時には1種換気(熱交換換気)

が必須です。

また、1種換気でも、九州以南では全熱交換という顕熱も潜熱も

交換するタイプ(温度も湿度も交換してくれる物)が必須となり

ます。

 

時々目にする“通風”という項目は、夏のはじめや終わり際の昼に

比べて夜の外気温が低い時期では、夜間窓開けにより心地良い

冷気を入れて、昼間は窓を閉めて快適な室温を保つには良いと

思いますが、一般的には1年を通しても2か月前後の期間にのみ

該当する項目ですので、正しい説明を受けて、計画的にすること

が重要となるので要注意です。

 

 

 

【まとめ】

 

これまでに断熱性能の簡単な比較の仕方や指標、そしてダイレクト

に実費へと繋がる電気代や省エネの観点から、何を重要視するべきか

をお話してきました。

 

これでもかなり省略して概要のみをお伝えしたにすぎず、決して感覚

だけや適当な知識だけで計画するのではなく、非常に緻密で綿密な

検証や計算のもと、確かな技術のノウハウで家づくりの計画を行う

ことで、確実に光熱費をおさえて、ランニングコストで大きな

メリットを生み出すことが可能です。

 

 

ローコストや性能はそこそこでイニシャルコストが50

思ったような快適性が得られずランニングコストは50

トータルが100

 

超高性能でイニシャルコストで80

想像以上の超快適でランニングコストは20

トータルが100

 

どちらを選ぶかは人それぞれの考え方次第ではありますが、

電気代や物価高が進む今、後者の方がトータルで下がる結果

が待っているという事も、最初のタイミングでしっかりと

考えておく必要があります。

 

 

 

 

 

 

 

以上、今回はリクエストにお応えして、これまでのまとめの

話しをさせていただきました。

次回は完全に目に見えない部分である、内部結露(結露計算)

について、より細かく計算根拠をお見せしながら話してい

こうと思います。

楽しみにしていてください!

 

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この他の家づくり全般に関する大切な話を少しでも早くに詳しく

直接聞きたいという方はぜひぜひ、お早めにお問い合わせの上、

ご予約ください!

 

 

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