【 後悔しないための家づくり知識 】

~ 断熱性能についてと、その見方編 その⑤ ~

『最初に考えるべき究極の電気代削減思考(2)』

 

 

 

 

前回はエアコンの選定について話し、イニシャルコストも

ランニングコストも踏まえて、無駄な選択をしないための

考え方をお伝えしました。

前回最後にも述べたように、この考え方は他の機器類すべ

てにおいて言えるので(必要な能力を見極めた初期費用・

消費電力・電気料金・交換コスト)家づくりをするにあた

って一つの大きな指標になります。

 

 

機械類にまったく頼らずに安全健康で快適に過ごすという

のはなかなか難しいのですが、それでもランニングコスト

を極力抑えていくためには出来るだけ不要な設備機器の購

入・使用頻度は減らしていくということが非常に重要です。

その結果数百万以上のコスト削減が可能になるからです。

 

 

では機械類に頼らずコスパ良く電気代を削減する一番の方法

は何か? それは、

“設計の中に高いレベルでパッシブデザインを取り入れること“

です。

今回はこの考え方の基本をできるだけ詳細に話していきます。

 

 

 

このブログはシリーズ化していこうと思いますので、前の

ブログをまだ読まれていない方は下記リンク先よりまず

バックナンバーから読むことをお勧めいたします。

↓↓↓

 

~ 断熱性能について  その① ~『基本編』

 

~ 断熱性能について  その② ~『根拠編』

 

~ 断熱性能について その③ ~『みんなが知りたいコスパ編(実例・電気代について)』

 

~ 断熱性能について その④ ~『最初に考えるべき究極の電気代削減思考(1)』

 

 

 

 

 
 
 

 

 

【パッシブデザインの基本項目】

 

    高いレベルで断熱する

    空気の漏れをなくす(高いレベルで気密性能を上げる)

    外気の影響を受けにくくする(熱橋部処理)

    断熱性能・保温性能が高いレベルの窓を設置する

    季節ごとによって違う日射角度に配慮した窓の配置

    熱交換換気の導入

 

上記項目がパッシブハウス基準を作ったドイツの物理学者

であるヴォルフガング・ファイスト博士によってはじめて

提唱されたパッシブデザインの主要ポイントです。

 

 

時々、(5)とこの中にない“通風”という項目だけを紹介して

いる記事を見かけますが、正しくは上記項目すべてを考え

た設計手法となります。

“通風”は世界的には「湿度を入れる行為でカビやダニの

発生増幅を促す」という理由からNGとされている項目

ですが、吉田兼好理念(※)や、夏季の始めや終わりの

際に見られる冷夜時期に少しでも省エネ思考でという日本

独特の考えです。

(※徒然草の作者、“家づくりは夏を中心に考えること” と唱えた700年前の人物)

 

 

確かに通風はちょうど今くらいの気候(夏のはじめや終わり

際の昼に比べて夜の外気温が低い時期)では、夜間窓開けに

より心地良い冷気を入れて、昼間は窓を閉めて快適な室温を

保つには良いと思います。

パッシブハウスのPHPPというソフトでも基準を満たすため

の評価項目に採用しても良いとされていますが、個人的には

シュミレーションをしてみて、あくまでも寒い地域向けに

積極的に採用されるものであり九州以南は不向きと思います。

(標高が結構高い場所ではアリ、周辺環境にもよりますが)

 

 

ですが、間違った捉え方や伝え方をしてしまう人も多く、

夏や30℃を超える日の昼間でも窓開けによる通風をして

いる家を時々見かけますので、正しい説明を受けて、

計画的にすることが重要となるので要注意です。

 

 

 

 

まず、(1)(2)は言わずもがな、前回前々回とお伝え

したように高い断熱性能と気密性能が必要不可欠です。

次に(3)については後日別枠で詳しく話していこうと思

いますが、ヒートブリッジ(熱橋)と言われる、屋外

から屋内へ貫通している熱の伝わりやすい部分を工夫

により極力抑えていくということです。

(高いレベルで。基礎も窓も木部も全て。)

そして(4)についても(3)と同様に窓とは熱橋部にあたる

物なので、高いレベルの樹脂サッシや木製サッシを採用

することが重要です。

(アルミサッシは必ず避け、アルミ樹脂複合サッシも極力避けること)

次の(5)はとばして(6)についても後日別枠にて詳細に

話していきますが、通風と同じく、3種換気だと屋外の

空気をそのまま入れてしまうので、夏は高温多湿の空気

が、冬は極寒冷気が入ってしまうので、屋内の温熱環境

を考えた時には1種換気(熱交換換気)が必須です。

また、1種換気でも九州以南では全熱交換という顕熱も

潜熱も交換するタイプ(温度も湿度も交換してくれる物)

が必須となります。

    これだけが唯一設備機器にあたります...(-_-;

 

 

そしてとばしていた(5)が本日のメインです。

 

 

 

 

 

【日射のコントロールが最重要】

 

ご存じの方もいると思いますが、季節によって太陽の昇る

方角、沈む方角、そして正午の一番高い位置に来る

南中高度と言われる角度が変わってきます。

 

 

太陽が昇る・沈む方角は、春分の日と秋分の日は真東から

昇って真西に沈みます。

夏至(一年で一番太陽が出ている時間が長い日)は真東から

北へ23.4度傾いた位置から昇り、真西から北へ23.4

傾いた位置へと沈みます。

冬至(一年で一番太陽が出ている時間が短い日)は真東から

南へ23.4度傾いた位置から昇り、真西から南へ23.4

傾いた位置へと沈みます。

 

 

そして正午の太陽が一番高くなる角度 “南中高度“ という

のですが、これについては、その地点の緯度によって変わり、

筑豊地区ならおおよそ33.633.7度程度となります。

 

 

春分の日と秋分の日は

90度-その地点の緯度(約33.6度)=56.4

夏至の日では

90度-その地点の緯度(約33.6度)+23.4度=79.8

冬至の日では

90度-その地点の緯度(約33.6度)-23.4度=33

となります。(下図参照:マイナビ中学受験ナビ引用)

 

 

 

 

次に季節ごとの太陽の日射熱について再度考えてみます。

前回、前々回にも話してきたように、1.6m幅程度のよくある

掃出し窓1つの大きさで太陽から入ってくる日射熱は

600W以上で、これは最大出力にしたコタツ1つ分の熱と

同程度の量となります。

 

 

冬に入ってくれると絶大な暖房効果となり、エアコン等の

暖房機器を使わなくてもかなりの熱源を取得することが出来

ますが、逆に夏に入ってくると窓にコタツがくっついている

のと同じこととなり、暑い季節に必要な冷房効果と逆行して

しまいます。

 

 

また、日の出や日の入り、つまりは東側や西側に来るときの

太陽の位置を考えると、ほぼ真横から日が差してくること

となりますので、冬はありがたいですが、夏は避けたいもの

となります。

 

 

これを踏まえて考えた時、機械や設備に頼らず家に入って

くる日射をコントロールしようと思えば、東と西は極力窓

を付けない(法規上リビングや個部屋は必要となるが、

よほどの理由がない限り付けない)

ようにし、冬場の一番太陽の日射が欲しい時期は南面の

日照時間が一番長いので南に極力窓を大きく配置します。

しかし、夏場は南の日射は欲しくないので、冬や夏の

南中高度を考え、庇や軒深にして自然と日射の入り具合

が調整されるようにするのです。

 

 

また、デザイン的にどうしても庇や軒を出したくない

(外観を四角くしたい)という方や、どうしても東や

西面に窓を取らざるを得ない場合はアウターシェード

や外付けブラインドを付けることをお勧めします。

(雨漏りリスクの観点から軒ゼロ・キューブ型はお勧めしませんが)

時々日除けのためのつもりでなのか、東や西面の窓に

庇を付けている家を見かけますが、日射遮蔽効果として

はほぼ意味がない状態です。

 

 

また、日射遮蔽の視点ばかりで考えるのではなく、筑豊

地区ではそれなりに開けた土地が多いとは言えど、隣地

に家が迫っている場合や大木、ビルや山など、冬に欲し

い日射まで遮ってしまう事があるので、土地の選定も

非常に重要です。

 

 

 

 

 

 

【まとめ】

 

これらの日照条件を確認していくには、専用のソフトで

綿密にシュミレーションしたり、現地調査を入念に行った

上で時間をかけてでも確実な計画をすることが不可欠です。

(下画は現地調査の時に私が使うアプリです)

(このアプリで季節ごとの太陽位置を瞬時に現地で確認できます)

 

 




 

 

正しいパッシブデザインを確実に行うことで、夏も冬も電気代

をかなり抑えることが出来るのです。

しかし、時々セカンドオピニオンでの相談で、日射を配慮した

計画をしたはずなのに暑い、寒いとの声を聞くことがあります。

調べた結果、単純にパッシブデザイン項目の(5)以外の項目

が全然足りていない、もしくはやっていないことが

ほぼ100%です。

自分自身で考えるのではなく、正しく正確な知識を持って

いて、尚且つ経験豊富な設計者に依頼することも非常に重要

です。

 

 

 

 

 

 

 

以上、今回はここまでとしますが、次回は断熱材の選定や

内部結露(結露計算)について、より細かく話していこう

と思います。

楽しみにしていてください!

 

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直接聞きたいという方はぜひぜひ、お早めにお問い合わせの上、

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