【 後悔しないための家づくり知識 】

~ 断熱性能についてと、その見方編 その④ ~

『最初に考えるべき究極の電気代削減思考(1)』

 

 

前回のお話で再エネ賦課金単価が増え続けていく事、昨年から燃料費調整額の

単価がプラスに転じて今後も増え続ける可能性が非常に高いことから、生活費

である電気代がかなり高くなっていく事が懸念されています。

また、ランニングコストとして電気代をとらえることが重要で、新築時に抑えた

はずのイニシャルコスト以上の費用が、住宅ローン返済期間だけでも余裕で逆転

してしまうことも説明しました。

今回は今後の電気料金上昇に苦しまないためにも、コストパフォーマンスを

良くする究極の電気代削減思考について解説していこうと思います。

 

 

このブログはシリーズ化していこうと思いますので、前のブログをまだ

読まれていない方は下記リンク先よりまずバックナンバーから読むことを

お勧めいたします。

↓↓↓

~ 断熱性能についてと、その見方編 その① ~『基本編』

 

~ 断熱性能についてと、その見方編 その② ~『根拠編』

 

~ 断熱性能についてと、その見方編 その③ ~『みんなが知りたいコスパ編(実例・電気代について)』

 

 

 

 

 

【家庭の電気代の割合】

 

まず、戸建て家庭の電気代の割合をみなさんはご存じでしょうか?

調べると色々な割合の円グラフが出てくるので、どれが本当か分からない

という方もいると思います。

ネット上に出ているものは賃貸も含めた統計のものや、ガスと電気を合わせた

ものや、オール電化だけのものなど、前提条件でかなり変わってきます。

また、季節が春夏秋冬でも変わりますし、年間の平均で出しているところも

あります。

 

ここでは、オール電化、夏冬という冷暖房を多く消費する季節(10か月間ほど)

を前提条件の元、経済産業省・資源エネルギー庁が出している統計結果を見て

みます。

 


 

 

見ての通り、空調(冷暖房の割合)がかなり大きなウエイトを占めています。

昨今ニュースでも言われているように、冷暖房の佳境の時には電力不足が懸念

され、極力電力を抑えるように促していることはご存じだと思いますが、こう

いった事実やデータを見れば、状況が掴めてきます。

また、夏日の夜では下グラフのような結果が出ています。

 


 

昼間ではさらにすごい割合になります。

 


 

 

 

 

【 “間違っている” という事を知ること】

 

電力不足が深刻な一方で、熱中症などが懸念され、さらにコロナでの換気が

必要とのことで、政府やメディアでは夏でも冬でも窓開けを勧めていることも

目にしますが、本当に残念な報道だと感じています。

 

築年数が古いのであれば確かにそうするしかないという事もありますが、

(他にも改善策がある時もあります)、これから新築をする、もしくはリフォ

ームをする人たちには劇的に屋内環境を改善・修正する最大のチャンスです。

それなのに正しい知識や情報発信を消極的にしかせずにいる事が非常に残念

でなりません。

 

何事もそうですが、表面的な対応をするのではなく、根本を見直し修正する

事が大切です。

これまで別ブログでも話してきた通り、そもそも必要なレベルの断熱や

正しい温熱環境設計(パッシブデザイン)が出来ていない、法律で規定

されていないからこんな事態が起こったり、付け焼刃のようなその場

しのぎの提案しかできていないのです。

 

また、換気に関しても、高い気密性を確保しなければそもそも換気

が機能しないので、窓を開けて夏は30数度の高湿の空気を入れたり、冬は

1ケタ台の空気を入れるようなことしか言えないのです。

 

さらに、カタログや店頭に記載されているエアコンの目安となる畳数は

数十年も前にできた基準にもかかわらず、家電メーカーや営業マンは

あたり前のようにそのままを勧めてくるのも問題と思います。

その結果、無駄な電力消費や顧客に不要な費用を発生させているのです。

 

言い出したら長くなりきりがないので、一旦落ち着いて、まずは最後に

述べた身近なエアコンの選定に触れていこうと思います。

 

 

【正しいエアコン選定方法】

 

正しい理由無くして「部屋が何畳だから何畳用を」と勧められていませんか?

もしくは、性能値が全然足りてなかったり、計画換気システムや全館空調への

費用ばかりかけて「エアコンは1台だけで十分」と言い切られていませんか?

家づくりは、正しい専門的な知識や住環境や住習慣を踏まえて住まいの計画を

しなければいけないので、自分達だけで見極め・判断するのは難しいです。

ですが、簡単な計算式で目安を知ることは全然可能です。

 

そもそも、断熱性能というのは 

“外の熱を中に入りにくくする、中の熱が外へ逃げにくくする”

という度合を科学的に数値で示したものであり、そこを深堀すると、

“家の温度を保つためにどれくらいの能力の空調機器が必要か“

が分かるのです。

 

また、気密性能というのは

 “家中の隙間を集めるとどれくらいの穴の大きさになるか”

なので、その穴の大きさの度合いでも、必要冷暖房能力に影響してきます。

 

これらを踏まえて簡単に必要な暖房能力を知るには

Q値 + C/10)×(床面積㎡)×(目標室内温度と屋外温度の差)

を計算して出た数字が必要暖房能力(単位:W)となります。

    Q値:断熱性能 C値:気密性能 

 

この出た数字を1000で割って単位をkWにします。

その数字が、カタログに書かれている暖房能力内に収まるエアコン選定

をするのが、一番無駄も無く効率的な選び方となる訳です。

 

冷房に関してはほとんどの空調機器が各畳数の暖房より需要能力が落とる

という事と、そもそも夏場は冷房ではなく除湿が必要という事、窓際の

日射遮蔽要素が重要なので、エアコン選定は暖房能力にて選定する方が

良いです。

 

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なかなか言葉だけでは分かりにくいので実例で計算してみます。

例えば、第3種換気で

Q値:2.7W/K(断熱等級4、Ua0.87 W/K程度)

C値:5.0/㎡  延床面積:115㎡(35坪程度)

内外温度差:20℃(室内23℃、屋外3℃)

を想定した時、先の計算式に当てはめると

{2.75.0/10)× 115 × 20  } / 1000  = 7.36 (kW) となります。

この7.36kWを満たす能力値をカタログから探します。↓

 

 

赤丸を付けた20~23畳用となります。

 

 

では、第1種換気(熱交換式)で

Q値:1.0W/KHEAT20G3Ua0.26 W/K程度)

C値:0.1/㎡  延床面積:115㎡(35坪程度)

内外温度差:20℃(室内23℃、屋外3℃)

を想定した時、先の計算式に当てはめると

{1.00.1/10)× 115 × 20  } / 1000  = 2.32 (kW) となります。

この2.32kWを満たす能力値をカタログから探します。↓

 


 

赤丸を付けた6畳用となります。

 

 

 

【エアコン選定から見えてくる差】

 

機種グレードや状況にもよりますが、6畳用が化粧カバーや取り付け費用

込みで8万円、23畳用が30万円だとしたら初期設置費用だけで4倍近い

金額差が生まれます。

 

また、ランニングコストで見るにはカタログ値の消費電力を見ていきます。

期間消費電力量(年間のトータル消費電力の目安)を見ると、

6畳用が594W23畳用が2316kWです。

半分は昼間の電力単価26.8/kWとし、残り半分は夜間電力単価13.5/kW

とします。

そうすると、6畳用は年間11,969円、23畳用は46,667となり、やはり4

近い差額が出ます。

買い替える目安を10年とすれば、6畳用は119,690円、23畳用は466,670円、

初期費用と合わせると6畳用は199,690円、23畳用は766,670円となり、10

単位では566,980円の差となります。

 

住宅ローン35年の間であれば単純計算でトータルで1,984,430円の差となります。

冷暖房費だけでもこれだけの差となり、それ以外の家電設備機器の消費電力を踏

まえていくとその4倍、5倍、それ以上の差が見えてくるのです。

 

単純計算で正しい畳数を見極めてもこの金額差ですが、断熱気密性能のが良けれ

ば良いほど全館空調を使わずとも温度ムラが無くなり本当に1台で十分に、

さらに上のパッシブハウス基準レベルまで行けば冬は大掛かりな設備機器は不要

で冬は無暖房となるので更に大きなランニングコストでの金額差が見えてきます。

 

逆に断熱気密性能のが悪ければ悪いほど家中の温度差が激しくなるので、付ける

エアコンも1台じゃ済まなくなり、各部屋ごとの設置が必要となりそれぞれに

ランニングコストが発生してくるので、上記の単純計算の差よりも

だいぶ大きく膨れ上がります。

 

 

 

【まとめ】

 

正しいエアコン選定をしてみても、やはりそもそもの住宅性能を良くする

ことが大切だとお分かりいただけたと思います。

ただ、間違ったエアコン畳数を勧められても今回の計算式で不必要な金額を

払うことは避けられるはずです。

LDKだけのエアコン選定の時はLDKの面積で考えればよいです。

 

また、エアコン以外でもその他空調システムや設備機器に関しては、その

消費電力とランニングコストを考えた上で採用していく事が非常に重要

となります。

機械物は電気代がかかるし、必ず壊れて入れ替えが必要になる事を頭に

入れておくことが必要なのです。

 

 

 

 

 

 

以上、今回はここまでとしますが、次回は機械に頼らない電気代削減方法

について、より細かく話していこうと思います。

楽しみにしていてください!

 

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直接聞きたいという方はぜひぜひ、お早めにお問い合わせの上、

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