夫婦の収入を合計する「収入合算」

結婚して子供が生まれると、賃貸ではなく持ち家に住みたいと考えるご夫婦が多いです。

実際に家を建てる時にほとんどの方が利用する住宅ローンですが、収入によって借り入れることができる金額が変わってくることは、ほとんどの方がご存じでしょう。

そのため、年収によって、ご夫婦のいずれかの収入だけでは、理想の家を建てるために必要な金額を用意することができないケースもあるのです。

しかし、一生の買い物である家づくり、妥協をしてしまうことは好ましい選択とはいえないでしょう。

また、将来子供の財産となる家の資産価値を高めるためにも、気密性や断熱性、耐震強度などの、機能面にもこだわりたいところですよね。

このように、夫婦のいずれかの収入だけでは十分なローンを組めない場合、「収入合算」をすることで、問題を解決できるかもしれません。

今回は、より大きな住宅ローンを組むことができる「収入合算」についてのご紹介です!

 

収入合算の仕組み

住宅ローンを借り入れる際、債務者の年収と返済負担率が借り入れ限度額計算に使われます。

まず、旦那様が500万円、奥様が400万円の年収があると仮定します。

そのうえで、以下の条件式で、実際の借入限度額を計算してみましょう。

 

税込み年収×返済負担率-ほかのローンの年間返済額=住宅ローンの年間返済可能額

住宅ローンの年間返済可能額÷12か月÷審査金利での100万円あたりの月返済額×100万円=最大融資額

 

上記の式を、旦那様の年収である500万円で、金利4%、返済負担位率30%の35年のローンで計算してみると、

500万円×30%=150万円

150万円÷12か月÷4427円×100万円=2823万5825円

となり、借入限度額は約2800万円と計算できます。

しかし、奥様の年収400万円と合算すると、

900万円×30%=270万円

270万円÷12か月÷4427円×100万円=5082万4486円

と計算でき、約5000万円のローンを組むことができる計算です。

このように、収入合算をすることで、借入限度額を増やすことが可能であり、その分、より質の高い住宅を建てることができるのです。

では、収入合算を行うことができる方法とは、どのようなものなのでしょうか?

 

収入合算を行うための方法

収入合算を行うための方法には、「連帯債務」と「連帯保証」があります。

ここでは、それぞれのメリットとデメリットを順にご紹介していきましょう。

 

住宅ローンの連帯債務

連帯債務とは、夫婦共同で債務者となる方法です。

連帯債務で3000万円借り入れた場合、旦那様と奥様両方が、3000万円全額に対する返済義務を負います。

住宅ローンの債務者になった場合、所得税の住宅ローン控除が受けられますが、連帯債務の場合、旦那様と奥様の二人とも、住宅の持ち分に応じて控除が受けられるのです。

また、住宅ローンには債務者が死亡状態、または高度障害状態になり、住宅ローンの返済が困難になった場合、ローン残高の返済が免除される団体信用生命保険、通称「団信」があります。

 

「団信」について

通常の団信では、連帯債務であっても、主たる債務者である一人しか加入できないことになっています。

つまり、主たる債務者として旦那様が団信に加入した場合、奥様に万が一のことがあってもローン残高の返済が免除されることはないということです。

通常の団信よりも保険料が高額になりますが、団信には連帯債務用に、夫婦で加入できるタイプもあります。

団信に夫婦で加入した場合、夫婦のどちらかに万が一のことがあれば、ローンの返済は保険金で行われます。

通常、団信の保険料はローン会社が負担しますが、夫婦で加入する場合、一部負担を求められるケースがあるので、ローン会社に確認するとよいでしょう。

また、ローン会社によって、連帯債務者の収入の一部のみの合算しか認めないこともあるので、こちらも確認が必要です。

 

住宅ローンの連帯保証

連帯保証とは、夫婦のいずれかが債務者になり、もう一方が連帯保証人になる方法です。

債務者が返済できなくなった時のみ、連帯保証人が返済義務を負います。

連帯保証の場合、債務者は一人なので、先に挙げた住宅ローン控除は一人しか受けることができません。

また、団信についても同様に、債務者しか加入できません。

加えて、ローン会社によっては、連帯保証人の収入合算を認めない場合もあるので、ローン会社に確認してみるとよいでしょう。

 

夫婦ペアローンも視野に

収入合算とは少し異なりますが、夫婦で協力して住宅ローンを返済していく方法の一つに、「ペアローン」があります。

「ペアローン」は、夫婦それぞれが債務者となって、同時に返済を行っていく方法です。

連帯債務や連帯保証では、収入の一部しか合算されないことがありますが、ペアローンでは、それぞれの収入で借入限度額を計算するため、より多額のローンを組むことができる可能性があります。

一方で、ペアローンでは互いに夫婦の連帯保証人になることを求められるケースが多いです。

つまり、仮に相手が返済不能に陥った場合、自分のローンと相手のローンを同時に返済していかなければならないことになります。

先に挙げた所得税の住宅ローン控除や団信については、夫婦それぞれが恩恵を受けることができます。

しかし、あくまで別々のローンだということに注意してください。

夫婦のどちらかが返済不能になっても、団信によって支払われるのは加入者のローンのみであり、もう一方のローンは払い続けなければなりません。

加えて、ペアローンの場合、ローンを組む際に発生する契約手数料などの費用は、約二倍になります。

 

住宅ローンを賢く使おう

夫婦の収入を合算してローンを組むことができる「収入合算」は、資金が足りないときには解決法になりうるかもしれません。

しかし、同時に返済の負担も大きくなるので、将来の資金計画をしっかり行わねばなりません。

それぞれの特徴を理解して、無理のないローンを組むようにしましょう。

上記のようにローンに関する専門的なことは、家づくりのプロに相談すると良いでしょう。

tattaでは、直接話し合いをしながら家づくりを進めることができるため、家づくりに関する様々な相談対応も可能です。

ぜひお気軽にご相談ください!